17世紀に生まれた、口にガチョウをくわえるキツネ。神話を持たない近代星座の代表例。
| 略符 | Vul |
|---|---|
| 学名・属格 | Vulpecula / Vulpeculae |
| 設定者 | ヨハネス・ヘヴェリウスが1687年に新設 |
| 見ごろの季節 | 夏(8月ごろ21時に南中) |
| 最も明るい星 | 目立つ明るい星はなく、惑星状星雲M27(ダンベル星雲)で知られる |
こぎつね座は、古代ギリシャ・ローマの神話には一切登場しない、近代になって作られた星座のひとつです。1687年、ポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスが自身の星図の中で新たに設定しました。当初の名前は「こぎつね座とガチョウ座(Vulpecula cum Ansere)」で、口に一羽のガチョウをくわえたキツネの姿として描かれていました。このガチョウは後に星座から切り離され、現在は星座名としては残っていません(一部の星に「アンセル」という固有名として名残があります)。
ヘヴェリウスがこの星座を新設した意図について、壮大な神話的背景は特に伝えられていません。当時の天文学では、それまで正式な星座として区分されていなかった、暗い星々が散らばる「空白地帯」を新たな星座として整理し直す動きが盛んで、こぎつね座もそうした実務的な区画整理の一環として生まれたと考えられています。派手な神話を持たない代わりに、この星座には天文学史上非常に重要な発見が結びついています。それが、パルサー(高速で自転する中性子星)の存在を裏付ける最初の観測天体のひとつ、かに星雲ならぬ「こぎつね座のダンベル星雲(M27)」です。
| バイエル符号 | 星名 | 等級 |
|---|---|---|
| α | Lucida Anseris | 4.4 |
| — | HR 7744 | 4.5 |
| — | HR 7592 | 4.6 |
| — | HR 7653 | 4.6 |
| — | HR 7306 | 4.8 |
夏の星座で、はくちょう座とや座の間、7月〜9月ごろの夜に見つけやすくなります。目立つ明るい星はなく、単独で探すのは難しいため、まずはくちょう座やや座を見つけ、その間の天の川の中を探すのがおすすめです。星座内には惑星状星雲M27(ダンベル星雲)があり、望遠鏡で見るとその名の通りダンベルのような形をした天体として観測できます(肉眼では見えません)。
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