化学者の炉が空に灯る。啓蒙時代の実験科学を象徴する、目立たぬ南天の星座。
| 略符 | For |
|---|---|
| 学名・属格 | Fornax / Fornacis |
| 設定者 | ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが1750年代に新設 |
| 見ごろの季節 | 秋(12月ごろ21時に南中、南の低空) |
| 最も明るい星 | 目立つ明るい星はなく、「ろ座銀河団」の方向として知られる |
ろ座は、神話上の存在ではなく、化学実験に使われる炉(かまど)をかたどった星座です。1750年代、フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが、南半球の空を観測するための遠征中に新たに設定しました。当初は「化学者の炉(Fornax Chemica)」という、より具体的な名前で呼ばれており、当時発展しつつあった近代化学、特に物質を加熱・精製するための実験装置を象徴していたと考えられています。
ラカーユが手がけた一連の「科学器具シリーズ」の星座群——ちょうこくしつ座、ポンプ座、らしんばん座など——と同様、この星座もまた、神話的な人物や動物ではなく、啓蒙主義時代の知的探求そのものを天に刻んだ存在です。18世紀ヨーロッパでは、錬金術から近代化学への移行期にあたり、物質の性質を探る実験科学が急速に発展していました。ろ座は、そうした科学革命の熱気を静かに夜空に留めた、時代の証人とも言える星座です。
| バイエル符号 | 星名 | 等級 |
|---|---|---|
| α | Fornacis | 3.9 |
| β | β For | 4.5 |
| ν | ν For | 4.7 |
秋の星座で、くじら座とエリダヌス座の間、11月〜12月ごろの夜、南の空の低い位置に見つけやすくなります。目立つ明るい星はなく、全88星座の中でも特に見つけにくい星座のひとつです。くじら座を目印に、その南側の暗い領域を探すのがおすすめです。この方向には「ろ座銀河団」と呼ばれる銀河の集団があり、天文学的に興味深い観測領域とされています。
くじら座 / エリダヌス座 / ちょうこくしつ座 / ほうおう座
アンドロメダ座 / みずがめ座 / おひつじ座 / きりん座 / カシオペヤ座