18世紀フランスの科学熱が生んだ空気ポンプ。ラカーユが並べた「実験器具シリーズ」の一つ。
| 略符 | Ant |
|---|---|
| 学名・属格 | Antlia / Antliae |
| 設定者 | ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが1750年代に新設 |
| 見ごろの季節 | 南天(日本からは南の低空にわずかに見える) |
| 最も明るい星 | 実際の実験器具「空気ポンプ」をかたどった、科学時代を象徴する星座 |
ポンプ座は、神話上の存在ではなく、実際の科学器具「空気ポンプ」をかたどった星座です。1750年代、フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが、当時ヨーロッパを訪れる機会の少なかった南半球の空を観測するため喜望峰へ遠征し、それまで星座として区分されていなかった南天の星々を新たに整理しました。ラカーユは古代の神話的な人物や動物ではなく、当時の啓蒙主義時代を象徴する最新の科学器具や技術道具——望遠鏡、顕微鏡、彫刻刀、そしてこの空気ポンプなど——を意識的に星座名として選んだことで知られています。
この空気ポンプは、17世紀にロバート・ボイルらが真空の性質を研究するために使用した実験器具がモデルになったとされています。ラカーユが手がけた一連の「実験器具シリーズ」の星座群は、それまでの神話中心の星座命名とは一線を画す、科学と理性を重んじる時代精神の象徴と言えます。壮大な物語こそ持ちませんが、これらの星座は「人類の知的探求そのもの」を天に刻んだ、独特の存在意義を持っています。
| バイエル符号 | 星名 | 等級 |
|---|---|---|
| α | α Ant | 4.3 |
| ε | ε Ant | 4.5 |
| ι | ι Ant | 4.6 |
春の星座で、うみへび座の南、ケンタウルス座の北、4月〜5月ごろの夜、南の空の低い位置に見つけやすくなります。目立つ明るい星はなく、全88星座の中でも特に見つけにくい星座のひとつです。日本からは南の低空にしかのぼらないため、南が開けた暗い場所での観察が必要です。うみへび座の長い体の南側に沿って探すのがおすすめです。
ふうちょう座 / りゅうこつ座 / ケンタウルス座 / カメレオン座 / コンパス座