Draw Your Sky

コンパス座(Circinus)

円を描くコンパス(ディバイダー)。全天でも屈指の小ささで、ラカーユの製図器具を締めくくる。

コンパス座の星図
略符Cir
学名・属格Circinus / Circini
設定者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが1750年代に新設
見ごろの季節南天(日本からはほぼ見えない)
最も明るい星製図用ディバイダーをかたどる、全88星座中でも特に小さい星座のひとつ

神話・由来

コンパス座は、神話上の存在ではなく、円や弧を描くための製図器具「ディバイダー(コンパス)」をかたどった星座です。1750年代、フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが、南半球の喜望峰で観測を行った際に新たに設定しました。この道具は、正確な円や角度を作図するために欠かせないものであり、天文学における星の位置の記録や、地図製作、建築設計など、幅広い分野で日常的に使われていた道具です。

じょうぎ座(定規)のすぐそばに配置されているこの星座は、ラカーユが手がけた一連の「科学・製図器具シリーズ」の星座群を締めくくる存在のひとつと言えます。定規とコンパスという、幾何学の基本となる2つの道具が隣り合って夜空に配置されている様子は、18世紀啓蒙主義時代における「正確さ」への強いこだわりを象徴しています。全88星座の中でも特に小さく暗いこの星座は、壮大な神話を持たない代わりに、人類の知的探求を支えた道具そのものへの静かな敬意を今に伝えています。

主な星

バイエル符号星名等級
αα Cir3.2
ββ Cir4.1
γγ Cir4.5

見つけ方

夏の星座で、ケンタウルス座とみなみのさんかく座の間、6月〜7月ごろの夜、南の空の低い位置に見つけやすくなります。目立つ明るい星はなく、全88星座の中でも特に小さく見つけにくい星座のひとつです。じょうぎ座やみなみのさんかく座を目印に、その周辺を探すのがおすすめです。日本からの観察はほぼ不可能です。これで88星座すべての紹介は完結です。

歴史的な星図で見るコンパス座

コンパス座のヘヴェリウス星図
South polar sky · Firmamentum Sobiescianum (1690), Johannes Hevelius — public domain

豆知識

実際の今夜の空でコンパス座を探してみましょう。現在地と時刻から、今見えている本物の星空にこの星座を重ねて表示します。
今夜の空でコンパス座を見る →

隣の星座

ケンタウルス座 / じょうぎ座 / みなみのさんかく座 / はえ座

同じ季節の星座

ポンプ座 / ふうちょう座 / りゅうこつ座 / ケンタウルス座 / カメレオン座

参考文献

次に読む

星空観察入門道具なしで今夜から始められる、星空観察の基本。 88星座図鑑すべての星座を季節別に一覧できます。