アルゴ船の舵取りを支えた羅針盤。かつての巨大な「アルゴ座」から切り出された一片。
| 略符 | Pyx |
|---|---|
| 学名・属格 | Pyxis / Pyxidis |
| 設定者 | ニコラ=ルイ・ド・ラカーユが1750年代に新設 |
| 見ごろの季節 | 南天(日本からは南の低空にわずかに見える) |
| 最も明るい星 | かつての巨大なアルゴ座があった一帯に置かれた、実際の航海道具をかたどる星座 |
らしんばん座は、実際の航海道具「羅針盤(コンパス)」をかたどった星座です。1750年代、フランスの天文学者ラカーユによって新設されましたが、この星座が置かれた位置には特別な意味があります。古代ギリシャの天文学では、この一帯はかつて「アルゴ座」と呼ばれる、全天でも最大級の巨大な星座の一部でした。アルゴ座は、英雄イアソンと勇者たち(アルゴナウタイ)が黄金の羊毛を求めて航海した伝説の船アルゴ号をかたどった星座で、あまりに広大だったため、後の時代(19世紀初頭)に「とも座(船尾)」「ほ座(帆)」「りゅうこつ座(竜骨)」の3つに分割されることになりました。
ラカーユは、この巨大な船の分割よりも前の段階で、船のマストの近くに位置する一帯に、当時最新の航海道具であった羅針盤を新たな星座として書き加えました。神話上のアルゴ船そのものではなく、実際の航海で使われる実用的な道具を星座にするという発想は、ラカーユが手がけた他の「科学器具シリーズ」の星座群と同じ精神に基づいています。壮大な英雄譚の傍らに、静かに実用的な道具の星座が置かれている様子は、神話の時代と科学の時代が同じ夜空の中で共存している、興味深い一例と言えます。
| バイエル符号 | 星名 | 等級 |
|---|---|---|
| ζ | ナオス | 2.3 |
| α | α Pyx | 3.7 |
| β | β Pyx | 4.0 |
| γ | γ Pyx | 4.0 |
冬から春の星座で、おおいぬ座の南、とも座の近く、1月〜3月ごろの夜、南の空の低い位置に見つけやすくなります。目立つ明るい星はなく、日本からは南の低空にしかのぼらないため、南が開けた暗い場所での観察が必要です。かつての巨大なアルゴ座(現在のとも座・ほ座・りゅうこつ座)の一角に位置しており、これらの星座と合わせて探すのがおすすめです。
ポンプ座 / ふうちょう座 / りゅうこつ座 / ケンタウルス座 / カメレオン座