王妃が女神に捧げた美しい髪。星団がきらめく、実在した女性の名を冠する唯一の星座。
| 略符 | Com |
|---|---|
| 学名・属格 | Coma Berenices / Comae Berenices |
| 設定者 | プトレマイオス48星座(古代ギリシャ、実在の王妃の逸話に基づく) |
| 見ごろの季節 | 春(5月ごろ21時に南中) |
| 最も明るい星 | 目立つ1等星はなく、肉眼でも見える散開星団(かみのけ座星団)が特徴 |
かみのけ座は、全88星座の中でも珍しく、神話上の存在ではなく実在した歴史上の人物、エジプトの王妃ベレニケ2世の物語に由来する星座です。紀元前3世紀、夫であるプトレマイオス3世が戦争へ出征する際、王妃ベレニケは夫の無事な帰還を女神アフロディーテに祈願し、もし願いが叶うなら自慢の美しい髪を女神に捧げると誓いました。夫が無事に帰還すると、ベレニケは誓いの通り自らの豊かな髪を切り落とし、神殿に奉納します。
ところが翌朝、神殿に納めたはずの髪が忽然と消えてしまう事件が起こりました。王の怒りを買うことを恐れた宮廷の天文学者コノンは、機転を利かせて「女神が王妃の献身をことのほか喜び、その美しい髪を天に上げて星座にした」と説明します。夜空を見上げると、確かにそこには、それまで単なる「しし座の尻尾の房飾り」程度に見なされていた淡い星の集まりがありました。この機知に富んだ説明によって王の怒りは鎮められ、以来この星の集まりは「ベレニケの髪(かみのけ座)」として独立した星座の地位を得ることになったのです。実在の王妃の名を冠する、全天でも数少ない星座のひとつです。
| バイエル符号 | 星名 | 等級 |
|---|---|---|
| β | β Com | 4.3 |
| γ | γ Com | 4.4 |
| α | Diadem | 5.2 |
春の星座で、しし座とうしかい座の間、4月〜6月ごろの夜に見つけやすくなります。目立つ1等星や2等星は持たず、代わりに肉眼でもぼんやりとした星の集まりとして認識できる、大きく緩やかに広がった散開星団(かみのけ座星団)が特徴です。暗い夜空では、まるで霧のような柔らかい光の粒が集まって見え、髪を思わせる繊細な印象を与えます。さらにこの方向には「かみのけ座銀河団」と呼ばれる、数千個の銀河が密集する領域があり、天文学的にも重要な観測対象となっています。
うしかい座 / かに座 / コップ座 / からす座 / りょうけん座